当社が属する免税店業界の市場規模につきましては、訪日外国人観光客数の増加と2014年10月から実施された免税対象品目の拡大により、近年、急成長を遂げております。
2019年には4兆8,135億円(前年比6.5%増)となり、2012年(1.1兆円)以降8年連続対前年増を継続しております。
このうち買物代は、34.7%を占め、最大の消費項目となっております。
また、国内免税店数もここ数年で倍増しており、2020年3月31日時点では54,667店舗となっております。
【訪日観光客数の推移及びTax-free免税店数の推移】出典:日本政府観光局(JNTO)、観光庁統計資料より当社作成
【訪日外国人旅行者数の推移】出典:日本政府観光局(JNTO)統計資料より当社作成
日本政府は、「観光先進国」への新たな国づくりに向けて、2016年3月30日、「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」(議長:内閣総理大臣)において、新たな観光ビジョンを策定しました。
この中では、当社に関連する数値目標として、次を掲げています。
2020年 | 2030年 | |
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訪日旅行者数 | 4,000万人 | 6,000万人 |
訪日外国人旅行消費額 | 8兆円 | 15兆円 |
外国人リピーター数 | 2,400万人 | 3,600万人 |
日本政府は、上記目標を達成するために、「3つの視点」と「10の改革」として取りまとめられており、当社に関連する改革として、主に次を掲げています。
No. | 主な改革内容 |
---|---|
1 | ビザの戦略的緩和(中国・フィリピン・ベトナム・インド・ロシアを対象にプロモーションによる認知度向上や受入環境の整備と連携) |
2 | 地方空港のゲートウェイ機能強化とLCC就航促進(首都圏空港の容量拡大、地方空港のLCC・チャーター便の規制緩和、コンセッション空港等における到着時免税店制度の研究・検討) |
3 | クルーズ船受入の更なる拡充(クルーズ船寄港のお断りゼロ実現、世界に誇る国際クルーズ拠点形成、全国クルーズ活性化会議と連携し寄港地の全国展開に向けたプロモーション) |
当社におけるマクロ環境においては、上記を背景として優位な状況となっています。
No.2のLCCの就航促進においては、LCCの着陸料軽減に関して、国交省において、2017年2月に開催した「訪日誘客支援の認定等に関する懇談会」で認定基準などを作成し、空港によって「拡大支援型」「継続支援型」「育成支援型」の3つのカテゴリーに区分されています。
このうち、新規就航・増便の支援は、拡大支援型で実施を行い、国管理空港の国際線着陸料は割引率2分の1以上、コンセッション/地方管理空港の国際線着陸料は3分の1の補助、新規就航等の経費支援では、チケットカウンターの設置や使用料、地上支援業務などの経費を3分の1の補助を行なうこととなりました。いずれも最大3年間とする方針となっています。
受入環境の整備では、旅客の受入環境高度化に係る経費の3分の1の補助を実施し、ボーディングブリッジや交通アクセス施設など、出入国容量拡大に資する施設整備に対するもので、これは拡大支援型を優先に3カテゴリーすべてを対象とされています。また、CIQ施設(税関、入国管理、検疫)の整備では、拡大支援型に対し2分の1の補助を行なう方針となりました。
一方、継続支援型・育成支援型では、国管理空港の国際線着陸料割引は現行のインバウンド割を活用。育成支援型に対しては、Wi-Fi整備や多言語化、海外PR、CIQ体制の充実などで航空局や観光庁、JNTOによる伴走支援があてられる予定となっています。
(参考)日本の主要4空港(成田、羽田、関西、中部)における国際線(旅客便のみ)の就航会社と便数(1月28日の出発便(成田/羽田/関西)、1月29日の 出発便(中部)をカウント)
出典:(株)航空経営研究所 主要空港の国際線就航会社、便数概観
出典:(株)航空経営研究所 主要空港の国際線就航会社、便数概観
出典:(株)航空経営研究所 主要空港の国際線就航会社、便数概観
No.3のクルーズ船の受入状況においては、2019年のクルーズ船の我が国港湾への寄港回数は、前年比2.1%減の2,867回(外国船社1,932回、日本船社935回)となりました。
港湾別では、外国船社においては、第1位:那覇港260回、第2位:博多港229回、第3位:横浜港188回となっています。
出典:国土交通省 2019年の訪日クルーズ旅行数とクルーズ船の寄港回数(速報値)
順位 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | |||||||
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港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | 港湾名 | 回数 | |
1 | 横浜 | 152 | 横浜 | 146 | 博多 | 259 | 博多 | 328 | 博多 | 326 | 博多 | 279 | 那覇 | 260 |
2 | 神戸 | 101 | 博多 | 115 | 長崎 | 131 | 長崎 | 197 | 長崎 | 267 | 那覇 | 243 | 博多 | 229 |
3 | 石垣 | 65 | 神戸 | 100 | 横浜 | 125 | 那覇 | 193 | 那覇 | 224 | 長崎 | 220 | 横浜 | 188 |
4 | 那覇 | 56 | 那覇 | 80 | 那覇 | 115 | 横浜 | 127 | 横浜 | 178 | 横浜 | 168 | 長崎 | 183 |
5 | 東京 | 42 | 長崎 | 75 | 神戸 | 97 | 神戸 | 104 | 石垣 | 132 | 平良 | 143 | 石垣 | 148 |
6 | 長崎 | 39 | 石垣 | 73 | 石垣 | 84 | 石垣 | 95 | 平良 | 130 | 神戸 | 136 | 平良 | 147 |
7 | 博多 | 38 | 小樽 | 41 | 鹿児島 | 53 | 平良 | 86 | 神戸 | 116 | ベラビスタ マリーナ 【広島県】 | 122 | 神戸 | 131 |
8 | 名古屋 | 35 | 函館 | 36 | 佐世保 | 36 | 鹿児島 | 83 | 鹿児島 | 108 | 佐世保 | 108 | 鹿児島 | 106 |
9 | 二見 【東京都】 | 29 | 鹿児島 | 33 | 名古屋 | 34 | 佐世保 | 64 | 佐世保 | 84 | 石垣 | 107 | ベラビスタ マリーナ 【広島県】 | 100 |
10 | 広島 | 26 | 名古屋 | 30 | 広島 | 32 | 広島 | 47 | 八代 | 66 | 鹿児島 | 100 | 佐世保 | 79 |
その他 | 418 | その他 | 475 | その他 | 488 | その他 | 693 | その他 | 1133 | その他 | 1304 | その他 | 1296 | |
合計 | 1001 | 合計 | 1204 | 合計 | 1454 | 合計 | 2017 | 合計 | 2764 | 合計 | 2930 | 合計 | 2867 |
国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)、公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(東京2020組織委員会)、東京都、日本国政府は、2021年に開催される第32回オリンピック大会の新日程に合意しました。
オリンピック競技大会は2021年7月23日から8月8日まで開催。また、パラリンピック競技大会の新しい日程についても、2021年8月24日から9月5日まで開催が予定されています。
※公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会ホームページより引用
2019年における訪日外国人旅行消費額は次の通りとなり、前年と比較して6.5%の成長を遂げています。
費目別に訪日外国人旅行消費額の構成比をみると、買物代が34.7%と最も多く、次いで宿泊費(29.4%)、飲食費(21.6%)の順で多い結果となっています。
出典:観光庁統計資料より当社作成
韓国人観光客の購入率においては、菓子類、医薬品、食料品等が上位となっており、購入者単価においては、電気製品、衣類、時計類が上位を占めています。次に中国人観光客の購入率においては、化粧品・香水、菓子類、医薬品が上位となっており、購入者単価においては、宝石類、時計類、化粧品類が上位を占めています。
出典:観光庁統計資料より当社作成